歯科コラム

COLUMN

マウスピース矯正中にホワイトニングは可能?
ホワイトニングについてマウスピース矯正

歯並びをきれいにしたいけれど、歯の色も同時に気になっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、近年注目を集めているマウスピース矯正は、透明なマウスピースを使用するため、矯正中でも歯の見た目を気にせず過ごしやすいというメリットがあります。当院のマウスピース矯正治療費用は660,000円(税込)、月々の調整料が2,200円(税込)となっております。
しかし、「マウスピース矯正中にホワイトニングはできるのだろうか?」「もしできるなら、どのようなことに気を付ければ良いのだろう?」といった疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。美しい歯並びと白い歯、どちらも手に入れたいとお考えの方にとって、可能性や注意点などをお伝えさせていただきます。

マウスピース矯正中にホワイトニングを行うことは、多くの場合可能です。むしろ、マウスピース矯正で使用する矯正用マウスピースをそのままホワイトニングにも活用できるため、効率的に歯を白くしていくことができるというメリットがあります。矯正治療中に歯の色も改善したいとお考えの方にとって、これは朗報と言えるでしょう。

ただし、ホワイトニングにはいくつかの種類があり、それぞれ特性が異なります。

  • オフィスホワイトニング: 歯科医院で専門的な薬剤と機器を使って行うホワイトニングです。短時間で高い効果が期待できます。
  • ホームホワイトニング: ご自宅で歯科医師の指導のもと、専用の薬剤とマウスピースを用いて行うホワイトニングです。ご自身のペースでじっくりと歯を白くしていくことができます。

マウスピース矯正中に併用しやすいのは、ご自身のペースで進められるホームホワイトニングです。矯正用のマウスピースがホワイトニングトレーとして機能するため、新たにホワイトニング専用のマウスピースを作る手間や費用を抑えられるケースが多く、手軽に始めやすいと言えるでしょう。

ただし、矯正治療の進行度合いや歯の状態によっては、ホワイトニングの開始時期や方法について歯科医師の判断が必要となる場合があります。

  • 特に、矯正治療の初期段階や歯の移動が活発な時期は、ホワイトニングによる刺激が歯に影響を与える可能性もゼロではありません。
  • そのため、自己判断で始めるのではなく、必ず事前に歯科医師に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

使用タイミングの注意点

マウスピース矯正中にホワイトニングを行う際、最も重要になるのが「使用タイミング」です。適切なタイミングでホワイトニングを行うことで、矯正治療の妨げにならず、より効果的に歯を白くすることができます。まず、ホワイトニングを行う際は、必ず矯正用マウスピースを外してから薬剤を塗布するようにしましょう。マウスピースを装着したまま薬剤を使用すると、薬剤が歯に均一に行き渡らず、ムラが生じる可能性があります。また、マウスピースの素材によっては薬剤と反応して変質したり、効果が損なわれたりする可能性も考えられます。薬剤を塗布した後は、製品の指示に従って一定時間放置します。この間は、マウスピースの装着を中断することになります。そのため、ホワイトニングは、一日のうちでマウスピースの装着時間が比較的短くても問題ないタイミング、例えば食事や歯磨きの後、あるいは就寝前などに行うのがおすすめです。

特に注意したいのは、新しいマウスピースに交換した直後です。新しいマウスピースに交換したばかりの頃は、歯が最も活発に移動している時期であり、歯や歯茎が敏感になっていることがあります。この時期にホワイトニングを行うと、刺激が強く感じられたり、痛みを伴ったりする可能性も考えられます。そのため、新しいマウスピースに交換してから数日はホワイトニングを控え、歯が新しいマウスピースに慣れてから再開するのが望ましいでしょう。また、ホワイトニングを行う頻度や時間についても、製品の指示や歯科医師のアドバイスを厳守することが大切です。過度なホワイトニングは、歯に負担をかけ、知覚過敏などを引き起こす原因となることがあります。

 

歯への影響は?

マウスピース矯正中にホワイトニングを行う際、多くの方が気になるのは「歯への影響」ではないでしょうか。適切に行えば、基本的に歯や歯茎に大きな悪影響を及ぼすことは少ないですが、いくつか注意すべき点があります。まず、ホワイトニングに使用される薬剤の主成分は、過酸化水素や過酸化尿素です。これらが分解される際に発生する活性酸素が、歯の色素を分解し、歯を白くします。この作用自体は歯を溶かしたり、構造を破壊したりするものではありません。しかし、歯の状態によっては知覚過敏を引き起こす可能性があります。特に、歯に亀裂が入っている場合や、歯周病が進行している場合、または虫歯がある場合は、薬剤が神経に刺激を与えやすくなり、一時的な痛みやしみるような感覚が生じることがあります。

また、矯正治療中は歯が動いているため、歯周組織がデリケートになっていることも考えられます。そのため、ホワイトニングによる刺激が通常よりも強く感じられる場合があるかもしれません。さらに、歯茎に炎症がある状態でホワイトニングを行うと、薬剤が歯茎に触れて刺激となり、痛みや炎症を悪化させる可能性もあります。これらのリスクを最小限に抑えるためには、ホワイトニングを開始する前に、必ず歯科医師による診察を受けることが不可欠です。歯科医師は、現在の歯と歯茎の状態、矯正治療の進行具合を考慮し、ホワイトニングが可能かどうか、また適切な薬剤の濃度や使用方法を判断してくれます。自己判断で市販のホワイトニング製品を使用したり、過度なホワイトニングを行ったりすることは、歯や歯茎に予期せぬトラブルを引き起こす原因となるため、絶対に避けるべきです。

 

マウスピース矯正とホワイトニングを同時期に行うことのメリット・デメリット

マウスピース矯正とホワイトニングを同時期に進めることには、それぞれメリットとデメリットが存在します。これらを理解しておくことで、ご自身の状況に合わせた最適な選択ができるでしょう。

メリット

  • 矯正用マウスピースをホワイトニングに転用できる: 矯正治療で作成したマウスピースをそのままホワイトニングトレーとして使用できるため、新たにホワイトニング用のマウスピースを作る手間や費用を省けます。これは、特にホームホワイトニングを行う場合に大きな利点となります。
  • 治療期間の短縮: 歯並びの改善と歯の色の改善を同時に進めることができるため、最終的な目標達成までの期間を短縮できる可能性があります。別々に施術を行うよりも、効率的に理想の口元に近づけます。
  • モチベーションの維持: 歯並びが徐々に整っていくのと同時に、歯も白くなっていくのを実感できるため、治療期間中のモチベーションを高く維持しやすいでしょう。見た目の変化が分かりやすいことは、患者様にとって大きな喜びとなります。
  • 完成後のイメージがしやすい: 歯並びだけでなく、歯の色も同時に改善されることで、矯正治療が完了した後の最終的な口元のイメージをより具体的に想像しやすくなります。

デメリット

  • 知覚過敏のリスク: 矯正治療中は歯が動いているため、歯や歯茎が敏感になりやすい傾向があります。その状態でホワイトニングを行うと、一時的に知覚過敏が生じるリスクが高まる可能性があります。
  • ホワイトニング効果のムラ: 歯が動いている最中では、ホワイトニング薬剤が歯の表面に均一に行き渡りにくく、歯の移動に伴ってホワイトニング効果にムラが生じる可能性があります。特に、歯の重なりが大きい部分などは、均一な効果を得るのが難しい場合もあります。
  • 治療期間中の制約: ホワイトニングの薬剤を塗布する時間は、マウスピースの装着を中断する必要があります。そのため、マウスピースの推奨装着時間を確保しつつ、ホワイトニングを行うタイミングを調整する手間が生じます。
  • 費用負担: マウスピース矯正とホワイトニングを同時に行うことで、治療全体の費用負担が大きくなる可能性があります。

これらのメリットとデメリットを考慮し、ご自身のライフスタイルや歯の状態、予算に合わせて、歯科医師とよく相談した上で同時治療(マウスピース矯正とホワイトニングを並行して行うこと)を検討することが重要です。

 

まとめ

マウスピース矯正中にホワイトニングを行うことは、多くのケースで可能です。透明なマウスピースをホワイトニングトレーとして活用できるため、効率的かつ費用を抑えながら、歯並びの改善と歯の美白を同時に進めることができるという大きなメリットがあります。しかし、ホワイトニングは矯正治療中のデリケートな歯や歯茎に影響を与える可能性もゼロではありません。特に、歯の移動が活発な時期や、歯周病などの問題がある場合は、一時的な知覚過敏が生じたり、歯茎への刺激が強くなったりするリスクが考えられます。

これらのリスクを避け、安全かつ効果的にホワイトニングを行うためには、いくつかの重要なポイントがあります。

  • 歯科医師への事前相談: 自己判断でホワイトニングを開始するのではなく、必ず事前に歯科医師に相談し、現在の歯と歯茎の状態、矯正治療の進行具合を詳しく診てもらいましょう。これにより、ホワイトニングが可能かどうかの判断や、適切な薬剤の濃度、使用方法についてのアドバイスを受けることができます。
  • 適切なタイミングでの使用: ホワイトニングを行う際は、矯正用マウスピースを外し、薬剤塗布後は一定時間マウスピースの装着を中断する必要があります。また、新しいマウスピースに交換した直後は、歯が敏感になっている可能性があるため、数日間はホワイトニングを控えるなど、タイミングに配慮することが大切です。
  • 指示の厳守: ホワイトニング薬剤の添付文書や歯科医師からの指示を厳守し、過度な使用は避けるようにしましょう。

歯並びを整えながら、白い歯も手に入れたいとお考えの方にとって、マウスピース矯正中のホワイトニングは非常に魅力的な選択肢です。しかし、ご自身の歯の状態や矯正治療の進捗は一人ひとり異なります。理想の口元を目指すためにも、専門家である歯科医師と密に連携し、最適な治療計画を立てることが何よりも重要です。

 

当記事の監修editor

院長 宍戸孝太郎
医療法人社団 孝親会 理事長
宍戸 孝太郎
資格・所属学会
厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
SBC(Surgical Basic Course 歯周形成外科コース)インストラクター
SAC講師
club SBC
日本口腔インプラント学会認定医
日本口腔外科学会会員